井川投手、一から出直し ビデオ学習90分 ブルペンは禁止 足の動きを反復 高野圭介 |
---|
フロリダにあるヤンキースの根拠地タンパで、井川投手が再生への苦しみを味わっている。 私はレポートを読んで、表面と中身とは違う、基礎が大事と感じた。 「腕も折れよ、と投げた」と言うではないか。私は球は腕で投げるもの・・・とばかり思っていた。 違う。足腰で身体全体を支えて、初めて腕が、指先までしならせて投げるものなのだ。 |
1Aタンパに降格した井川慶投手(27)は5月9日、マイナー施設で調整を開始した。 午前11時からスタートするはずの練習だったが 井川がグラウンドに姿を現したのは午後零時半を過ぎていた。 実はその間、まずは“視覚”から正しい投球フォームを叩き込まれていた。 マイナーを巡回するコントレラス投手担当コーディネーターが用意したのは、 メッツのグラビン、レッドソックスのシリングら、メジャーの大物投手の投球ビデオ。 ヤ軍が所有している阪神時代の井川の投球フォームも材料にして約1時間半ビデオ観賞。 制球安定への“矯正塾”だ。 同コーディネーターは「まだ腕は使わない、球を使わない練習段階」と、 キャッチボール、遠投こそさせたものの、ブルペンでは投球をさせなかった。 右足を上げたところでの静止、そこから右足の踏み出し、左足の着地まで、 井川は足の動きだけを繰り返した。 メジャー6試合で防御率7.63の左腕は春季キャンプへ逆戻りどころか、 投手として「一」からやり直し。1時間以上のランニングで汗をかいた井川は 「トレーニング面では好きにやらせてもらえるので」とめげた様子はない。 「自分が最高にプレーできる状態にするまで、調整は続く」 固い決意を胸に、背番号29の孤独な戦いが始まった。 |